忍者ブログ
時たまある画像はクリックで別窓ですよー
[805] [804] [803] [802] [801] [800] [799] [798] [797] [796] [793]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

あんまりに完成品ができないので、没にしたもの晒します……orz
バレンタインです。没った。理由は気に入らなかったから。そんだけ。










 

 


「あのね、」

本当は、用意してたの。
イヴェールが、小さく小さく私に囁いた。
ふふと少し意地悪に笑う彼は、とても可愛い。

「何をだい?」

しかし彼の言う「用意」とやらは、私にはわからない。
一体何の用意だろうか。

「チョコ」
「チョコ?」
「そう」
「……どうして、チョコ?」
「だって、」

昨日は、バレンタインだったでしょう?
嗚呼……そういえば、そうだった。すっかり忘れていた。
去年は双子に紫陽花と菫の花束をプレゼントしたんだったか。
そしてイヴェールには、青い蒼い薔薇の花束を。

「……それで?」
「うん?」
「一体、誰に用意していたんだい」

男の嫉妬は醜い。それを最初に言ったのは誰だったか。
私の中のドロドロとした醜い嫉妬は、ぐるぐるぐるぐると渦巻くばかり。
嗚呼、醜い。私はきちんと微笑んでいるだろうか?
イヴェールに醜悪な姿を見せていないだろうか?

「誰って……決まってるでしょ?」
「……そうだね」

やっぱり。……賢者なんだね、イヴェール。
あの忌々しい男に用意して。
顔を赤らめて、笑って。
ぐるぐるぐるぐる。嫉妬が、止まらない。

「それで? どうして渡さなかったんだい」
「んー……タイミングが、なかったとか」
「とか?」
「恥ずかしかったとかも、ある」
「……ふうん」

……そう。
あの男が、そんなに好きなの。

「今渡すのもいいけど、」
「けど……なに?」
「もうバレンタイン過ぎちゃったしね」

少し哀しそうなイヴェールの笑顔は、つんと心を刺した。
けれどやはり、それよりもあの男への嫉妬が渦巻く。

「欲しい?」
「え?」
「バレンタイン、過ぎちゃったけど」
「……いいよ。遠慮する。好意はありがたいけど」

あの男の手に渡るはずだったものなんて、いらない。
普段の私なら、きっとありがたく受け取っただろう。
例えそれがあの男のものになるはずだったものであれ。
だが今の私は愚かだ。
正に愚者と呼ぶに相応しい存在。
そんなもの、受け取るはずがなかった。

「……そっか」

そうだよね、うん……過ぎちゃたもんね。
そう言って笑うイヴェールは悲しげで、きゅうと心が締まった。

「えと、じゃあ……さ。ホワイトデー、は……あげてもいい?」
「ホワイトデー? ホワイトデーはお返しする日だよ」
「うん、貰ってもないし、あげてもないけど……あげたいから」
「まぁ……いいんじゃないかい? きっとイヴェールからなら、賢者も喜ぶと思うよ」
「……うん?」

苛々する。嗚呼駄目だ、これ以上イヴェールと一緒にいると発狂しそうだ。

「イヴェール。ごめんね、少し用事を思い出したんだ。帰るね」
「え? もう帰っちゃうの?」
「うん。しばらく会えないと思うけど……」
「……また、会えないの?」
「この間ほど長くない」

この間は数か月帰らなかったが……
まぁ今回は、流石にそこまでかからないだろう。
一か月程経てばふっきれるだろうか。

「一か月ほどで帰るよ」
「そう……」


「それじゃあね、イヴェール」

 

 

 

 


 

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[03/17 神城@管理人]
[03/17 じゅうはち]
[07/11 神城]
[07/11 局長]
[07/03 神城]
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
HN:
神城
性別:
女性
職業:
学生
趣味:
サンホラ
自己紹介:
神城でしんじょうさんです。
基本、馬鹿で阿呆。
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
ブクログ
ぼかろ